こんにちは。1級ファイナンシャルプランナーのアトフジです。
先日、Yahooニュースでこんな記事が話題になりました。
無職の専業主婦の年金を半分にする
政府も突拍子もない事をいうものです。
確かに、夫が会社員で厚生年金に加入している場合、専業主婦は自分の年金保険料ほ支払う事なく年金の受給権を得ることができます
「第3号被保険者」という立場となり「夫の厚生年金保険料に妻の年金保険料が含まれている」という仕組みです。
無職という定義が、本当に働いていないのか、年収130万年以下のパート専業主婦も対象なのかははっきりと分かりませんが、専業主婦だって好きで専業主婦をやっている訳ではないと思います。
年金額が半分になるってどれくらい減るの?と心配される方も多いと思うので、現状の年金額から考えて試算して見たいと思います。
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無職の妻の年金が半分になったらどれくらいの損失なのか?
現在、専業主婦(※1)が老齢基礎年金を満額受給すると780,100円です(平成31年4月時点)
※1:一度も正社員として働いておらず厚生年金に加入していなかった専業主婦
満額受給のための条件は、国民年金保険料を480ヶ月(40年間)支払うことです。
現状の年金制度では、65歳から専業主婦の基礎年金は受給権が発生しますが、おそらく政府が半額にすると言ったのは、この65歳から受給できる老齢基礎年金額のことだと思われます。
そこで、今回女性の寿命を85歳、90歳、100歳と仮定した場合、年金が半額になることによっていくらの損失なのか計算して見ました。
【シミュレーション表】
年金総支給額(現状) | 半分による損失額 | |
寿命85歳 | 1,560万円 | −780万円 |
寿命90歳 | 1,950万円 | −975万円 |
寿命100歳 | 2,730万円 | −1,365万円 |
※将来の年金額が平成31年4月現在と同水準で、単純に基礎年金が半額になったと仮定
※年金額が寿命まで変わらないと仮定
※厚生年金の受給は無いと仮定
計算して思いましたが、半分になると物凄い金額の損失ですね。
今現在、無職の専業主婦は870万人いるらしいので、もし寿命100年時代が到来すると仮定すれば、政府としては約118兆7550億円の年金支払い負担が減るという試算になります。
確か平成30年度の国家予算が約100兆円程度だったと思うので、ほぼ1年分の国家予算分の節約になります。
あくまで単純計算の話しですが…すごい金額ですね笑
金額もですが、もっと危機感を覚えるのは家計レベルの話ですよね。
今現在で、無職の専業主婦がいる家庭においては、いきなり将来の収入が1,365万円も減小する事を意味しますから、家計的に老後破産してしまうのではないでしょうか…
という事で、個人的には現実的な方法ではない気がしてなりません。
もし、本当に第3号被保険者である専業主婦の年金問題を真剣に議論するのあれば、第1号被保険者の専業主婦、つまり自営業主の主婦と同じように国民年金保険料を徴収する方が現実的に思えます。
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妥協点は無職の専業主婦からも保険料を徴収?
現在の国民年金保険料は月16,410円です。(平成31年4月現在)
もし仮に、今回の議論の決着が「無職の専業主婦からも保険料を徴収する」となった場合を考えてみたいと思います。
そもそも、なぜ自営業主の専業主婦は保険料負担があり、会社員の専業主婦は保険料負担がないのでしょうか?
理由の一つに、自営業主の専業主婦には「専従者給与」といって自営業主、つまり夫から給料を貰える仕組みがあるからです。
夫は妻に専従者給与を支払う事で、自分自身の所得税を節税できます。その点が会社員とは大きく違う点です。
なので、「自営業の夫は自分の所得税を節税している恩恵を受けているんだから、妻の国民年金保険料は支払ってくださいね」という意味合いがあり、会社員の夫は逆にしっかりと税金を収めているから、専業主婦の妻の国民年金保険料は免除しますよ。
そう言った話だったはずです。
であるならば、今回の議論により専業主婦から年金保険料を徴収するということ自体が当初の制度と矛盾している感じ否めません。
以上も踏まえ、もし無職の専業主婦にたいし満額の保険料負担を課された場合と半額の保険料負担を課された場合に、家計の負担がトータルでいくら増えるか計算して見ました。
【設定】
妻の年齢:35歳
保険料を60歳まで支払うと仮定
国民年金保険料 | 支払い総額 |
満額 | 492万円 |
半額 | 246万円 |
年金額が半分になることに比べれば、全然マシですが、そうはいっても大きな負担ですね。
ファミリーカーが新車で一台買えるくらいの金額です。
どちらにしろ解決策は自助努力
今回の議論の決着がどのようになろうと、国の年金制度の運用は厳しい事は周知の事実かと思います。
賦課方式という方法を採用していて、現在支払われている年金は、我々約6500万人の労働者が負担して制度を支えているわけです。
割合でいうと、3人で1人の老人を支えていることになります。これが2050年頃には約1人で1人を支えることになるというので、大変な事は目に見えています。
1人で1人を支えるなら、もはや賦課方式という方法の意味がなくなり、個人年金やイデコのように「積立方式」に切り替えてもいいような気がします。
欧米では確か年金制度は積立方式だったはず。
そうなると結果的には無職で国民年金保険料を払っていない妻の年金は、半分どころではなくなってしまうわけですが…
色々と考えましたが、やはり結論は「自助努力」が大事ではないでしょうか。
というか政府としてもなんとか自助努力して欲しいから、イデコやつみたてNISAを大々的にPRしている訳ですよね。
専業主婦で仮にイデコに加入した場合、掛け金は月々23,000円です。
もし仮に年率3%で35歳から60歳の25年間支払った場合、シミュレーション上は約1,020万円の年金原資が出来上がります。
年金が半分になった時の損失補填ができるくらいの金額が準備できる訳ですね。
もし、このニュースをみて「不安」を感じた方は一度真剣に考えて見るのもありかもしれません!
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